【Making Voice】タクティカル・カヤック「SNIPER」誕生 〜速く、遠く、どこへでも。デザイナー&生産者へインタビュー~

【Making Voice】タクティカル・カヤック「SNIPER」誕生 〜速く、遠く、どこへでも。デザイナー&生産者へインタビュー~


「FOLBOT」が放つ、待望の新型モデル「SNIPER(スナイパー)」。

 

フジタカヌーの定評ある「アルピナ 450 ハイブリッド」のフレームをベースに、

FOLBOT独自のタクティカルなデザインエッセンスを注ぎ込んだこの一艇について、

その特徴をフジタカヌーの藤田さんと、FOLBOTのデザイナーのお二人に詳しく伺いました。

 

 

「TACTICAL FOLDING KAYAK」から「SNIPER」へ。開発の狙い


―これまで「TACTICAL FOLDING KAYAK」がありましたが、なぜ今、新型を開発したのでしょうか?

 

 

デザイナー: ファンのみなさまの選択肢をもう少し広げたいなと。より多様な用途に対応していくためですね。


「FOLBOT」が日本で始まって5年が経ちました。

 

おかげ様でファンも増え、ベーシックなオールラウンドモデルの「TACTICAL FOLDING KAYAK」以外にも、開発してみようと思いまして。

 

 

―「TACTICAL FOLDING KAYAK」と比較して、どのような違いがあるのですか?

 

 

藤田さん: 「TACTICAL FOLDING KAYAK」に比べて幅が狭く、全長が長いため、スピードが出やすく、直進性が高いのが特徴です。

 

積載量も豊富で、キャンプ道具を積んでの遠征も楽しめますよ。

 

特に遠征となることが多い、シーカヤックにもいいと思います。

 

 徹底的にこだわり抜いたタクティカル・ディテールなデザイン

 

 

ー「SNIPER」という、印象的な名前の由来は?

 

デザイナー: 直訳すれば「狙撃手」ですが、このモデルには「遠いところにあるターゲットをしっかりと見据え、そこへ向かって漕ぎ進んでいく」という、意味を込めています。

 

この「SNIPER」っていう名前が先に決まって、そこからデザインを考えていきました。

 

 

―「SNIPER」という名前にふさわしい、シャープでかっこいいデザインですよね。

 

デザイナー: ディテールはFOLBOTらしさであるタクティカルな要素をいっぱい詰め込みました。

 

 

FOLBOTのパドルやサップにも使用している、この共通のV字マーク、実はアメリカの戦闘機で使われているエアインテークのモチーフから着想を得てデザインしているんです。

 

 

―このモデルにしかない、デザイン面での特徴は何でしょう?

 

デザイナー:それはやっぱり前方デッキに配置したアシンメトリーなタクティカルマットですね。

 

 

「SNIPER」は、先端側の船艇内に収納した荷物を取り出しやすくするための取り出し口、ハッチを作ったんです。


そのハッチを避けるために、アシンメトリーなデザインにする必要がありました。

 

アシンメトリーを活かしたデザインにできないか考えた結果、「SNIPER」の名前から着想を得て、ハンティングジャケットのショルダーガンパッチをモチーフにすることを思いつきました。

 

 

一番悩んだデザインだったのですが、「SNIPER」らしさが出せた、最大のデザイン面での特徴になりましたね。


機能面では、モールとしても使用できますし、一部ベルクロになっているので、みなさんの大好きなワッペンも貼っていただけますよ!

 

 

ーオーナーミーティングの時だと特に、自分のカヤックがどれか見分けがつかなくなりがちですもんね。

 

デザイナー:そう。ワッペンをつけて自分好みにカスタムできるようになっています。

 

 

 

後側デッキのタクティカルマットにもベルクロタイプのモールシステムをつけています。

 

 

コードをつけ、大きめのサイズ設計にしたことにより、水筒や、予備のパドルなどもしっかりと固定できるよう、機能面にも配慮しました。

 

 

ー後方デッキには黒のラインの上に「SNIPER」のロゴもありますが、こだわりが?

 

 

デザイナー:そうですね、今回はちょっとポイントを置きたくて。切り替えとして黒の生地に変更し、ロゴも入れてもらいました。

 

 

―サイドのプリントも、これまでのモデルとは違うようですが。

 

 

デザイナー: はい、今回はサイドにもロゴを入れたいなと。

 

横から見た時、サイドにロゴがあると目立つし。

 

我ながら命名してクールだと思っているこの「SNIPER」という名前を、皆さんに知っていただきたい!と思いまして。

 

 

ーパッと見て、かっこいいですね。

 

デザイナー: でしょ?

 

驚異の強度を誇る「グラスファイバー・フレーム」&漕ぎやすさへのこだわり

 

―今回「SNIPER」はフジタカヌーさんの「アルピナ 450 ハイブリッド」のフレームをベースに制作していただきましたが、その特徴は何でしょうか?

 

 

藤田さん: デッキ部分とサイドの「耳」にあたる部材には、アルミではなくグラスファイバーを強度部材として採用していることですね。

 

 

―アルミと比べて、どのような違いがありますか?


藤田さん: 一番は「限界点の高さ」と「形状記憶性質」です。要は強度が高くて、柔軟性があります。


アルミは強い衝撃で曲がるとそのまま曲がったままになってしまいますが、グラスファイバーは非常にしなやかで、強い力が加わっても元に戻ろうとします。

 


 

川の岩場に当たって壊れた!と思っても、このグラスファイバーのフレーム部分は曲がらず壊れていなかったりするんです。


実際、大人がこんな風に体重をかけて乗っても、しなって折れないでしょ?

 

 

―しなやかで強度が高いんですね。船体の深さが浅く見えるんですが?

 

 

藤田さん: はい、このモデルはあえて低く設計しています。

 

これによって、風の抵抗を抑えられますし、小柄な方でもパドルがガンネル(船縁)に当たりにくく、漕ぎやすいと思います。

 

 

―漕ぎやすさでいうと、オプションでラダーを装着できるんですよね?


藤田さん:ええ、 できますよ。


パドリングを止めずに進路を調整できることがラダーのメリットですね。

 

 

カヤックは軽量なため、どうしても横風や潮の流れの影響を受けて流されてしまいますが、ラダーがあればそれらを打ち消すように「当て舵」を効かせ、向かいたい方向へ進みやすくできます。

 

 

―ラダーの操作はどのように行うのですか?


藤田さん: 操作は手元と足元の連動で行います。

 

 

まず、手元にあるコードを引っ張ることで、ラダー本体を水中に下ろしたり、逆に引き上げたりします。


水中にあるラダーの向きは、フットペダルと繋がったワイヤーを足で操作することで左右にコントロールする仕組みです。

 

 

―取り付けには複雑な加工が必要なのでしょうか?


藤田さん:いやいや、船体自体への加工はほとんど必要ありませんよ。


基本的にはペダルにワイヤーを接続する作業がメインとなります。

 

 

ただし、ラダーの形状は「TACTICAL FOLDING KAYAK」と「SNIPER」で異なるので注意してくださいね。船尾の厚みや形状が異なるため、それぞれの専用設計となっています。


また、 身長が高い方、特に180cmから190cm以上の足の長い方は注意が必要です。


SNIPERの内部フレームにはパイプのジョイントがあり、フットレールの位置をそれ以上前に出せないという構造上の制限があります。

 

そのため、大柄な方がレールを一番前にセットすると、ラダーを操作するための「踏み代」が確保できなくなる可能性があるんです。


そのあたりもご注意いただき、検討してくださいね。


メンテナンスと耐久性:長く付き合える、一生モノの相棒として


―「SNIPER」はグラスファイバーを一部採用しているなど、タフな印象がありますが、実際にどれくらい長く乗り続けられるものなのでしょうか?


藤田さん:適切にメンテナンスをすれば10年以上使い続けることができます。

 

 

「SNIPER」のベースとなっているフジタカヌーの「アルピナ 450 ハイブリッド」をわたしもカヤック教室やツアーで何百回と使用していますが、ダメージが出るたびに修理を繰り返しながら10年は乗っていますね。

 

 

―具体的にどのような修理を行うのですか?


藤田さん: 船体にダメージが出た場合は、スペアの生地をウェルダー(溶着)で貼り付けて補強します。


これを繰り返すことで、むしろ生地が分厚くなり、より頑丈になっていくという側面もあります。


接着剤での修理も可能ですが、機能をしっかりと維持するためには、工場での強固なウェルダー修理がおすすめですね。

 

 

極端な話をすれば、外側の船体布(スキン)をすべて新しく作り直して、中身のフレームを活かすことで新品同様にリフレッシュさせることも可能です。


お客様の予算や希望に合わせて相談しながら修理していきます。


結構工場に直接修理依頼にいらっしゃるユーザー様も多いんですよ。


たまに不在にすることもあるので、事前にご連絡いただけると助かります!

 

 

―ユーザー自身でできるメンテナンスや、傷を防ぐコツはありますか?


藤田さん:傷がつきやすいのは、やはり底部の「キール(背骨)」にあたる部分です。

 

 

あらかじめ市販の布テープなどを表面に貼っておくことで、テープが身代わりになってダメージを抑えてくれるので、剥がして貼り替えるだけで船体を守ることができます。


また、自分で修理したいという方のために、補強用の長い生地をカットして提供することも可能ですよ。

 

 

―「直しながら使い込む」というスタイルが、このカヤックには合っていますね。


藤田さん: そうですね。壊れたら買い替えるのではなく、工場に持ち込んだり部品を買い足したりしながら、自分だけの相棒として育てていけるのが、このフォールディング・カヤックの醍醐味でしょうか。

 

 

―一生の相棒「SNIPER」と共に、どこまでも遠くの景色を楽しんでもらいたいですね。本日はありがとうございました。



ーインタビューを通して


デザイナー、生産者のお二人の言葉には「SNIPER」へのこだわりが溢れでていました。


「SNIPER」は、単なる移動手段としてのカヤックを超え、タクティカル要素満載かつ自己表現も可能にしたデザイン性、ずっと「相棒」として使い続けてほしいという気持ちを反映させた使いやすさとタフな機能性を兼ね備えています。


速く、遠く、どこへでも。


あなたなら、この「SNIPER」でどのターゲットを狙いますか?

 

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